抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
都市における温暖化対策のひとつとして,公共交通や徒歩,自転車を用いた低炭素型交通行動を地域固有の市民意識を活用しながら育成していくことが必要とされている。これまで地域固有の市民意識と低炭素型交通行動に着目した取り組みでは,交通行動が地域固有の市民意識に結びつくことが報告されている。しかしながら逆に,地域固有の市民意識が交通行動に与える影響はないのであろうか。これに対して近年,地域固有の市民意識の違いにより,同様の施策を講じても地域によって異なるパフォーマンスを与えることが認識されつつあり,これはソーシャル・キャピタル(SC)として計測されている。本研究におけるSCの定義は,Putnam(1993)による『人々の協調行動を活発にすることによって社会の効率性を高めることのできる「信頼」「規範」「ネットワーク」といった社会組織の特徴』を用いた。本研究の目的は,地方都市においてSCが低炭素型交通行動選択に影響する構造を明らかにすることである。研究対象は,函館市とした。都市を中心,近郊,郊外に分け,ロジットモデルを用いた構成要素の影響分析と,共分散構造分析を用いた構成要素間の構造分析を行った。結果として,SCが高い地域において,必ずしもSCが低炭素型交通行動選択への活用されている訳ではなく,SCが自動車保有形態に与える影響は,郊外にいくほど高くなることが分かった。そのため自動車依存の高い近郊や郊外において,低炭素型交通行動を育成していく際には,SCを考慮した対策が効果的であることが示唆された。(著者抄録)