抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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道北のように地震の発生が比較的少ない地域では,限られたデータに基づいてサイト増幅特性が評価されている。その場合,用いられた記録の特性により,サイト増幅特性が大きく影響を受ける場合がある。既往の研究(野津・長尾,2005)では全国の強震観測地点を対象にサイト増幅特性の評価を行っており,北海道では260の地点が対象となっているが,このうち道北を中心とするいくつかの地点では,用いられた記録の特性により,低周波側(0.2Hz付近)においてサイト増幅特性が過大評価となっていることがわかった。そこで,本研究では道北地方などを対象として,現時点で利用可能なデータに基づき,スペクトルインバージョンによりサイト増幅特性の再評価を行った。解析では2004年12月から2005年3月にかけて対象地域に強震記録をもたらした4つの地震を対象とし,それらの地震に対して震央距離150km以内にある118の地点を対象とした。また,既往の研究結果との連続性を保つ観点から,既往の研究において問題なくサイト増幅特性が評価されている3地点におけるサイト増幅特性を拘束条件として与えた。解析の結果,115の地点においてサイト増幅特性が新たに評価された。本研究で得られたサイト増幅特性を既往の研究のものと比較すると,既往の研究では複数の地点で見られた低周波側(0.2Hz付近)でのサイト増幅特性の過大評価が,本研究では解消されていることが確認された。それ以外の観測点や周波数帯域に着目すると,本研究で得られたサイト増幅特性は概ね既往の研究におけるサイト増幅特性と調和的である場合が多い。新たに得られたサイト増幅特性と地下構造との対応関係に着目すると,北海道の中でも特に厚い堆積層の分布する地域として知られている道北の西側(サロベツ原野周辺)では低周波側で非常に大きなサイト増幅特性を示す地点が多いことがわかる。また,後志支庁の赤井川カルデラや網走支庁の山間部にも低周波側で非常に大きなサイト増幅特性を示す地点が分布している。一方,雄冬岬の近くに位置するHKD023では0.2-2Hzの範囲でサイト増幅特性は1~2の範囲に収まっている。サイト増幅特性と同時に得られた4つの地震の震源特性とF-netによるCMT解の地震モーメントとの比較を行ったところ互いに調和的であることがわかった。(著者抄録)