抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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欧米では今世紀に入り,バイオミメティクス(biomimetics)と呼ばれる「自然に学ぶものつくり」に関する研究開発がクローズアップされ始めている。蓮の葉の超撥水性を真似たセルフクリーニング・コーティング用塗料,蛾の目を模倣した無反射フィルムなど,昆虫や植物の表面が持つ特異なナノ・マイクロ構造と,それらが持つ様々な機能を模倣した「新世代バイオミメティック材料」とも呼ばれる新しい機能材料が注目を集めている。現代社会が抱えているエネルギー,環境,資源などの諸問題に対応できる「生産技術の革新」を萌芽する新しい科学技術体系をもたらす潮流として世界的に期待されている。特に欧州における新世代バイオミメティクス研究開発は,生物学からの問題提起をナノテクノロジーなどとの連携で強く推進されている。人材育成とネットワーク形成を推し進め,博物館や産業界を巻き込んで進んでいる。一方,我が国のバイオミメティクス研究は「縦割り的」であり,異分野連携が積極的に推進されているとは言えない状況にあり,欧米の研究開発例をキャッチアップしフォローするだけであった。我が国に新世代バイオミメティクス研究の新しい科学技術体系を構築するためには,工学と生物学の強力な異分野連携,包括的な研究連携体の組織化,産学連携のプロジェクトが不可欠である。また異分野連携のバリアを低くするための人材育成・教育の仕組み作りが急務である。(著者抄録)