抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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オーストラリア熱帯モンスーン気候において収集された最新の情報に基づいて,熱帯における鳥類の生活史進化に関する研究を総括した。大量の経験的データと比較研究により,熱帯では北温帯エリアよりも群れは小さく,成鳥の生存率が高いことが示されている。しかし巣補食率,抱卵期間,巣外育雛期間,シーズン中の抱卵回数に関しては両地域で顕著な相違は認められていない。幼鳥に対する給餌率,餌サイズ,給餌量に関する十分なデータはない。季節による温度変化が小さく,6カ月で乾期と雨期が交代するオーストラリア熱帯モンスーンでは,主に昆虫と蜜という餌の季節変化が北温帯エリアよりも小さいため,繁殖は毎月起こるが,種間で繁殖シーズンのパターンは異なる。大部分の生活史の特徴は他の熱帯エリアにおける鳥類のそれと似た傾向を示し,成鳥の死亡率は低く,群れの入れ替わりは遅く,このため若鳥の最初の繁殖は遅れ,出生地からの離散も遅くなる。これらはオーストラリアの鳥類でよく見られる協同繁殖の誘因となる。頻繁な野火は草地営巣種の繁殖に悪影響を及ぼす一方で,野火により出現する新たな食料資源と採餌環境を利用した繁殖の増加,あるいは野火によるダメージを軽減する行動等,野火に対する適応もいくつか見られる。