抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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いもち病に極わめて強い陸稲「戦捷」に,いもち病抵抗性が極弱い日本型水稲「農林29号」を交配し,その後代の葉いもち病圃場抵抗性を量的形質遺伝子座(QTL)解析した。その結果,「戦捷」のいもち病圃場抵抗性に関する4つのQTL領域を見いだした。これらは,第4染色体のRFLPマーカーG271とG177,第11染色体の1172および第12染色体のS826の近傍に検出された。これを踏まえて,それぞれのQTL領域を独立に保有するように,DNAマーカーで選抜しながら,「戦捷」にいもち病抵抗性が弱い良食味品種「ミネアサヒ」を戻し交配した。かくて,QTL領域とQTLが検出されなかった染色体を一部残したのみの「ミネアサヒ」準同質遺伝子系統群(NILs)を育成した。NILsをいもち病検定にかけたところ,「戦捷」が持つ4つのQTL領域のいもち検定抵抗性強度には大きな差があった。最も作用力が強かったのは,第4染色体のいもち病圃場抵抗性遺伝子pi21を含むG271領域であった。この領域の葉いもち抵抗性の作用力は,いもち病常発地でも農薬防除を省略できる水準と考えられた。その後,pi21近傍のみを「戦捷」型とする「ミネアサヒ」NILsを選抜,分離集団後代で固定したものについて,生育,収量,食味調査を行った。その結果,pi21を持つNILsは,持たないものに比べて,明らかに品質・食味が劣った。この試験に用いたNILは,pi21近傍領域が最も短いもので,pi21を含む「戦捷」型領域は500kb程度であった。次に「ミネアサヒ」NILに良食味品種「コシヒカリ」を2回戻し交配したF2の詳細なDNA分析を行った。そして,「戦捷」に由来するpi21を持ち,その周辺で染色体領域の長さが異なる個体を選抜し,これらの後代系統の食味調査をした。結果は,pi21の直ぐ隣の遺伝子が「コシヒカリ」に由来する場合,食味は著しく改善されたが,数個隣の遺伝子を「戦捷」から受け取った系統では食味が劣った。以上の選抜系統の内,系統番号「K14」は,出穂・成熟期は「チヨニシキ」と同等であったので,品種「中部125号」と命名した。