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J-GLOBAL ID:201002220360201590   整理番号:10A0103181

ゲノム情報を利用していもち病抵抗性と極良食味特性を結合した水稲新品種「中部125号」

著者 (4件):
資料名:
号: 137  ページ: 35-38  発行年: 2010年01月15日 
JST資料番号: L2405A  ISSN: 1345-5958  CODEN: BTEEEC  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 文献レビュー  発行国: 日本 (JPN)  言語: 日本語 (JA)
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いもち病に極わめて強い陸稲「戦捷」に,いもち病抵抗性が極弱い日本型水稲「農林29号」を交配し,その後代の葉いもち病圃場抵抗性を量的形質遺伝子座(QTL)解析した。その結果,「戦捷」のいもち病圃場抵抗性に関する4つのQTL領域を見いだした。これらは,第4染色体のRFLPマーカーG271とG177,第11染色体の1172および第12染色体のS826の近傍に検出された。これを踏まえて,それぞれのQTL領域を独立に保有するように,DNAマーカーで選抜しながら,「戦捷」にいもち病抵抗性が弱い良食味品種「ミネアサヒ」を戻し交配した。かくて,QTL領域とQTLが検出されなかった染色体を一部残したのみの「ミネアサヒ」準同質遺伝子系統群(NILs)を育成した。NILsをいもち病検定にかけたところ,「戦捷」が持つ4つのQTL領域のいもち検定抵抗性強度には大きな差があった。最も作用力が強かったのは,第4染色体のいもち病圃場抵抗性遺伝子pi21を含むG271領域であった。この領域の葉いもち抵抗性の作用力は,いもち病常発地でも農薬防除を省略できる水準と考えられた。その後,pi21近傍のみを「戦捷」型とする「ミネアサヒ」NILsを選抜,分離集団後代で固定したものについて,生育,収量,食味調査を行った。その結果,pi21を持つNILsは,持たないものに比べて,明らかに品質・食味が劣った。この試験に用いたNILは,pi21近傍領域が最も短いもので,pi21を含む「戦捷」型領域は500kb程度であった。次に「ミネアサヒ」NILに良食味品種「コシヒカリ」を2回戻し交配したF2の詳細なDNA分析を行った。そして,「戦捷」に由来するpi21を持ち,その周辺で染色体領域の長さが異なる個体を選抜し,これらの後代系統の食味調査をした。結果は,pi21の直ぐ隣の遺伝子が「コシヒカリ」に由来する場合,食味は著しく改善されたが,数個隣の遺伝子を「戦捷」から受け取った系統では食味が劣った。以上の選抜系統の内,系統番号「K14」は,出穂・成熟期は「チヨニシキ」と同等であったので,品種「中部125号」と命名した。
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分類 (2件):
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作物の品種改良  ,  稲作 
引用文献 (6件):
  • 櫛渕欽也 (1978) 今月の農薬, 22, 46-53
  • Takita, T. et al.(2002) Natl. Agric. Res. Cent. Tohoku Reg, 100, 93-117
  • 加藤恭宏ら (2002) 育種学研究, 4, 110-124
  • Saka, N. et al.(2005) Rice is life, IRRI, Manila, Philippines, 487-489
  • Fukuoka, S. et al (2001) Theor. Appl. Genet, 103, 185-190
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