抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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湛液循環式水耕で提唱された定量施与管理法を,ダブルトラフ構造ベッドを用いた固形培地耕のトマト栽培に導入可能か,またその場合NO
3-Nを中心とする無機成分施用量を削減できるかを検証するため,2つの実験を行った.定量施与管理区ではロックウール粒状綿を詰めたダブルトラフ構造ベッド上に2本のチューブを配し,片方のチューブで所定濃度の培養液を毎日一定量施用し,もう一方のチューブでは水のみを与えた.濃度管理区では,一定濃度の培養液を施用する掛け流し栽培を行った.実験1では50 me/株/週のNO
3-N施用して6段摘心栽培における定量施与管理を検討した結果,第5~6段では収量が低下したため,6段摘心栽培では生育後半にNO
3-N施用量を50 me/株/週以上に増加させる必要性が示唆された.実験2では第1~2花房開花期,第3~4花房開花期,第5花房開花期~実験終了時にそれぞれ50,70,90 me/株/週および30,50,70 me/株/週のNO
3-Nを施用した2処理区において,6段摘心栽培における生育段階別NO
3-N施用による定量施与管理を検討した.その結果,定量施与管理50-70-90区の収量は濃度管理区と同等であり,無機成分施用量削減率はNO
3-N 33%,NH
4-N 56%,PO
4-P 53%,K 41%,Ca 22%,Mg 76%となった.これらの結果から,固形培地耕でもダブルトラフ構造ベッドを用いることにより,定量施与管理が可能であり,NO
3-Nを中心とする無機成分施用量を削減できることが明らかになった.(著者抄録)