抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,600 A/cm-wの臨界電流値を有するGdBCO厚膜線材の空間均一性ならびに高磁場下の電流輸送特性を,それぞれ低温レーザ顕微鏡ならびに四端子法によって調べた。希土類系高温超伝導線材の実用化のためには,磁場中での高い臨界電流(I
c)値の実現と共に,低交流損失化のための細線化加工に耐え得る優れた均一性の実現が不可欠である。電流容量増大のためには臨界電流密度(J
c)の向上と共に,超伝導層の厚膜化による有効断面積の増大が重要な因子となる。しかしながら,従来手法では,厚膜の増大と共にJ
c値は低下し,従ってI
c値の増大は飽和することが知られている。フジクラのIijima等のグループは,パルスレーザ蒸着法による成膜条件の改善により,この厚膜時のJ
c劣化の問題を改善することに成功し,2.5μmのGdBCO膜を有するコート線材をRtR方式により長尺に亘って安定して製造できることを示した[1]。本線材の77K,自己磁場中のI
c値は600 A/cm-wを有する。本研究では,本線材の局所空間均一性をμmスケールの空間分解能を有する低温レーザ顕微鏡法によって評価した。臨界温度の空間分布を調べた結果,面内のT
c分布は0.2K以内の優れた均一性を有していることが示された。また,高磁場下の磁束フロー損失分布を観測した結果,従来法に比べI
cの空間均一性も飛躍的に向上しており,細線化加工に問題となる電流阻害因子の頻度が大きく減少している事が明らかとなった。さらに,27Tまでの高磁場領域,20~77Kの温度範囲における電流輸送特性を四端子法によって調べ,実用上優れた電流輸送性能を有する線材である事を示した。本研究は,イットリウム系超電導電力機器技術開発の一環としてISTECを通じてNEDOからの委託を受けて実施するとともに,日本学術振興会の科研費(20360143)の助成を得て行ったものである。