抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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筆者(網代芳民)は比熱・磁化率等の熱力学的諸量の測定,ESR,NMR等の磁気共鳴,中性子回折,μSR,強磁場磁化測定などの広範な実験的手段を用いて,時間的,空間的に大きい揺らぎを持つ基底状態の解明,さらには新しい量子凝縮相の発見を目指した研究を行ってきた。本解説では,筆者が関わった低次元磁性体におけるESR研究の有用性に焦点を当てて,典型的な実験について記述した。電子スピンサイエンス学会賞の受賞講演で説明した,伝播磁壁ソリトン,量子ブリーザ励起,ハルデン磁性体,二次元三角格子磁性体などの各項目について概要を説明した。一次元および二次元磁性体は,種々の協力現象・相転移の機構や普遍性を追求するための基本的かつ簡明なモデル系であると同時に,低次元系に固有の未知の現象の発見を通じて相転移現象のより深い理解に寄与できると考えられる。実際,これまでの研究によって通常の三次元磁性体では見られない磁気秩序やスピン揺らぎが発見され,相転移に関するスピンフラストレーション効果や量子スピン効果が極めて重要な概念として認識されるに至っている。