抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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新たな担い手として注目されている農業所得1,000万円以上の農業経営者が持つ経営者特性を把握するための指標,特性の把握,構成要素,および因果関係を明らかにした。15項目70設問の回答を,有意差検定や因子分析で,個別に検討した。取り上げた15項目は次の通り。(1)信念・倫理観,(2)野心・冒険心,(3)先見性・戦略性,(4)洞察・判断力,(5)社会性,(6)他人を信頼する,(7)包容力・人柄,(8)面倒見・リーダーシップ,(9)責任感,(10)計数感覚,(11)体力と健康管理,(12)時間利用,(13)部下を大切にする,(14)人間関係・ネットワーク,(15)危機経験 これらは,(2),(3),(4),(10),(12)を「戦略的経営管理」に,(1),(7),(8),(9)を「経営者の人間的魅力」に,(5),(13),(14)を「社会性・ネットワーク」といった3要素に分類できた。1)これら3要素12項目の評価から,従業員・売上規模や学歴の違いによる特性の違いが検出でき,特性を構成する因子が抽出できた。2)特性を,学歴や従業員規模,売上規模など属性別・規模別に有意差検定を行った。結果,規模拡大に伴い認識が高まる要素として,(7),(8),(9)などの評価が,学歴の違いから(1),(3),(4)の評価が高まっていた。3)因子分析から「社会性・ネットワーク」が新しく抽出された。特に,「社会性・ネットワーク」は後天的に獲得できる可能性があることは,留意すべきである。
