抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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環境中に放出された物質は様々な経路を経て湖沼や海洋に運ばれ,堆積物に沈積するため,水圏の堆積物は物質の最終シンクになる。貯水池がある西山地区は長崎市に投下された原子爆弾が爆発した後,「黒い雨」が地域であり,高濃度の
239+240Puが検出されている。堆積物中に蓄積した長崎原爆の痕跡を探るため,プルトニウムと
137Cs分析を行った。原爆由来成分と核実験由来成分を区別するために,プルトニウム同位体比,
240Pu/
239Pu原子数比を用いた。ICP-MS法を用いて
240Pu/
239Pu同位体比を求めると共に,同位体希釈法によりプルトニウムを定量した。見つかった2つの層をタイムマーカとして用い,堆積物中の物質の蓄積を時系列に沿って解析した。深度4.4m付近で
239+240Pu濃度及び
137Cs濃度は急激に上昇し,その後緩やかに減少している。濃度分布の急激な立ち上がりは,長崎原爆によって放出されたプルトニウム及び
137Csが貯水池上空に運ばれ一気に蓄積したことをことを示している。深さ4.4mに蓄積する長崎原爆由来のプルトニウム及び核実験フォールアウトの
240Pu/
239Pu同位体比から換算すると,この堆積物に含まれる長崎原爆由来のプルトニウムはおおよそ96%であった。また,貯水池集水域の土壌中のプルトニウムを分析したところ,
240Pu/
239Pu比は,表層堆積物の値と一致し,貯水池集水域の土壌が堆積物中のプルトニウムの供給源であることが推定できる。