抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
日本の高潮常襲海域では,1959年の伊勢湾台風の高潮災害を契機に,伊勢湾台風級の高潮偏差や既往最高潮位に備えて堤防や護岸を築造してきた。ところが,1999年や2004年には甚大な高潮災害が発生した。また,将来の気候変動に伴う平均海面の上昇と熱帯低気圧の強大化によって,高潮災害が頻発化する可能性もある。今後高潮災害を低減するためには,過去の高潮に対する理解を一層深めるとともに,予期せぬ高潮への備えが必要である。高潮数値計算には,1)台風接近時,2)発災後(被災原因の究明),3)平時(高潮対策施設の長期的な計画),の3つの場面で,それぞれ計算技術の向上が求められている。そこで本研究では,近年に日本,韓国,米国で発生した高潮災害の教訓をまとめるとともに,高潮防災の実務に役立つ高潮計算モデルを開発した。その成果は以下の通りである。(1)台風接近時に各港湾を対象としたきめ細かな高潮予測を行うために,高潮数値計算モデルに適切な計算条件を設定し,台風来襲時に高潮予測を実施した。また,潮位の確率予測も試みた。(2)台風通過後に被災原因を詳しく究明できる高精度な高潮推算モデルを開発するために,経験的台風モデルの改良や局地気象モデルの導入によって海上風の推算精度を高め,波浪や天文潮との相互作用を考慮することで,高潮の推算精度が向上することを示した。(3)確率台風モデルを用いて高潮の極値を推定する方法を提案するとともに,現行の高潮対策施設の計画高潮位の再現期間を試算した。(著者抄録)