抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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鉄道には,転がり抵抗の少なさが長所として挙げられる反面,空転や滑走が発生しやすく,車両の加減速性能が制限されるといった短所も併せ持っている。なお,この加減速時に生じるレールと車輪の間の転がり摩擦力を一般的に粘着力と呼び,空転や滑走が発生する瞬間の粘着力を輪重で除した値が粘着係数と定義されている。従来からその特性把握やより高い粘着係数を得るための研究がなされてきた。これまでの,ブレーキ時の粘着係数の測定手法は簡易であるが,較正作業が煩雑であることや,編成中の測定軸を増やすことが困難であるために粘着特性の把握が測定軸のみに限られ,編成中の軸位によって異なると言われる粘着係数を把握するにはデータが少ないという問題があった。また,雨天時の湿潤条件を模擬し,車輪とレール間に散水を行うが,レール上の水の量等,雨天時を完全に再現しているものではなかった。さらに,車両の積空条件や電空協調等,実車とは異なるため,編成全体における粘着特性の把握には適していなかった。一方,最近の一部の通勤電車では回生ブレーキの性能について,車上モニタシステムによる”信頼性”と”可動率(アベイラビりティ)”の評価が行われている。このシステムは,営業車両の各種状態量を列車LANと携帯電話を用いて遠隔収集できるものであり,その情報には,時刻や走行キロ程及び駅情報の他に,カ行時及びブレーキ時における主回路装置や基礎ブレーキ装置等の状態量が含まれている。そこで,本研究では,車上モニタシステムから得られる膨大なデータに含まれている滑走情報を用いて,編成粘着特性の把握手法を見出し,各軸位の粘着係数の算出や粘着特性曲線の導出例を示した。これらの手法を用いることで,編成各車両の期待粘着係数の設定や空転・滑走再粘着制御への活用が考えられる。