抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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ユーラシアの春の積雪面積は,温暖化に伴い過去数十年で減少傾向が見られる。しかし冬の積雪状態については,データ不足のため未だあまり解明されていない地域も残る。本研究では特に温暖化の著しいモンゴルの冬季(11月~2月)に着目し,積雪深,気温,及び降水量とそれらに関連する大気循環について解析を行った。標準化した冬季における降水量,平均積雪深,及び平均気温を,モンゴル全域に分布する代表観測点で平均して指数化し,各指数の1961年から2007年の経年変動を明らかにした。解析期間前半に発生した多雪冬は著しく寒い冬と一致していたが,1990年代以降,温暖な冬にも多雪冬が現れた。平年より寒冷,及び温暖な多雪冬それぞれの合成の総観解析を行った。寒冷な多雪冬には,平年モンゴルの東に位置する上層のトラフがより西側に張り出しており,モンゴルへより強い寒気の流入があった。一方,温暖な多雪冬には,モンゴルの東のトラフの張り出しは弱く,西からモンゴルへのより強い水蒸気輸送があった。過去数十年にわたり気温が上昇するなか,冬季積雪深は減少しておらず,その背景に温暖多雪冬の存在が示唆される。今後頻度が増すと考えられる暖冬においても,モンゴルでは強まった水蒸気輸送により,依然大量の積雪に見舞われ得る可能性が示唆された。(著者抄録)