抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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UVオゾンランプ等で生成される「活性酸素」は,各種の表面処理(洗浄,改質,殺菌減菌,酸化)で幅広く利用されている。著者らは水晶微小天秤(QCM)法を用いて基材側の観点から活性酸素種の表面への作用量をモニタリングすることを検討してきた。しかし,QCM法で銀薄膜を検出層として用いた場合,銀薄膜の表面酸化によって,活性酸素のモニタリング中に測定値が飽和してしまう不具合が確認されているが,その表面酸化機構の詳細は明らかにされていない。そこで本研究では,UVランププロセス下における水晶振動子上での銀薄膜表面酸化状態を各種の分析手法を用いて解析し,その酸化挙動モデルについて検討を行った。銀薄膜の断面構造を解析するため,走査透過型電子顕微鏡(STEM)による測定を行った。銀薄膜表面の酸化状態を解析すべく,X線回折(XRD)法による結晶性の評価を行った。銀薄膜表面の化学結合状態を解析するため,光電子分光(XPS)による測定を行った。その結果,低圧水銀UVランプ下におけるQCM測定および各種の解析より,以下の知見が得られた。 1)銀薄膜層を有するQCMでは,活性酸素による表面酸化を高感度で検出可能であるが,その検出時間は10分未満であり,それ以後,表面が酸化層で飽和され,モニターとして機能しない。 2)表面に形成される酸化層は終始Ag
2Oの構造を有している。 3)10分超の表面では,形成された酸化層(Ag
2O)に面内膜厚分布(300~600nm)があり,さらに深さ方向に密度分布(2層構造)が認められる。このことはつまり,測定時間が長くなるとQCMでモニターした質量増加量から活性酸素作用量を精密に定義することが困難であることを示唆している。