抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海上衝突予防法は,1972年の海上における衝突の予防のための国際規則(COLREG)の規定に準拠している。2006年にイタリアからレクリエーション目的の船舶に対する商船の優先権の確立を趣旨とするCOLREGの改正提案がなされた。本文では,船舶間の衝突を防止する国際的な共通ルールとして機能しているCOLREGを改正するイタリア案の問題点を抽出し,COLREGの法解釈論や過去の海難審判の裁決を分析することにより,商船とプレジャーボートの航行優先権の問題を海上交通法論の立場から論究した。IMOの会議の場においては,総括として,イタリア改正案のさらなる調査の必要性が強調されるとともに,海難データの不足などの問題点が指摘され,最終的に,プレナリーとしてCOLREG改正には同意できず,イタリアに対し,本案の見直しと再考を促した。今回のイタリア改正案については,海洋レジャーの普及に伴って潜在的な危険が増大するなかで,海上交通の安全性向上の観点からは一つの方向性を示しているといえるが,定義の問題も含め,操縦性能に基づく避航の基本原則と異なる主張や航法適用上の諸問題が法的整合性を阻害するおそれもあり,現段階でのCOLREG改正は時期尚早であると考える。