抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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水分ストレスがダイズの根粒形成の状況と葉内窒素含有量が収量に及ぼす影響を各生育ステージで調べるために,2008年6月から11月にかけて岐阜大学のビニールハウス内で,栽培実験を実施した。実験方法は1因子5水準9反復の無作為の完全型試験である。すなわち,水分ストレスの処理として,土壌水分欠損量が総容易有効水分量(TAW)の0~20%(D<sub>1</sub>),20~40%(D<sub>2</sub>),40~60%(D<sub>3</sub>),60~80%(D<sub>4</sub>),80~100%(D<sub>5</sub>)の5水準の処理区を設けた。開花期(49 DAS),結実期(77 DAS),成熟期(140 DAS)の3段階の生育ステージでサンプリングを行った。葉内窒素含有量は開花期および結実期においてD<sub>2</sub>試験区で最大となった。ダイズ収穫量は,結実期の葉内窒素含有量と正の有意な相関(p<0.01)があった。4.75mm径以上の根粒の総数は葉内窒素含有量と相関が見られなかったが,結実期,成熟期における根粒数はダイズの収量と正の有意な相関が見られた(p<0.05)。一方,結実期において4.75mm径未満の根粒の総数は,葉内窒素含有量やダイズ収量と正の有意な相関(p<0.01)があった。4.75mm径以上の根粒の総乾燥重及び湿潤重は葉内窒素含有量やダイズ収量と相関がなかったが,結実期における4.75mm径未満の根粒の総重量は正の有意な相関があった(p<0.05)。4結実期における4.75mm径以上の一個体団粒の湿潤重および乾燥重は葉内窒素含有量やダイズ収量と負の有意な相関(p<0.01)があったが,4.75mm径未満の根粒は正の有意な相関(p<0.01)がみられた。以上の結果から,圃場容水量に対してTAWの20~40%に相当する水分欠損状態(D<sub>2</sub>)が,根粒菌と宿主の有効な共生関係と根粒の形成にとって最も良好な土壌水分状態であること示している。さらに,結実期における4.75mm径以上の根粒よりも4.75mm径未満の根粒の方が,有効に根粒菌感染していることを示唆した。(著者抄録)