抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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近年,西日本を中心に登熟期の高温により,米品質が著しい減少傾向にある.今後地球温暖化に伴う気候変動によりその被害の拡大や甚大化が懸念されるため,近年の気候環境が米品質に及ぼす影響を解析することは非常に重要である.本研究では,コメ品質を広域(県スケール)の白未熟粒発生率として定義し,登熟期の主要気候要因(イネの生育ステージに応じて加重した有効積算気温δと積算日射量SR)からコメ品質を推定する統計モデルを構築した.その際,データおよびモデルパラメータに由来するコメ品質の推定の不確実性を考慮するためにベイズ推定を適用した.その結果,コメ品質の年々変動を良く再現することができ,特に,近年の再現性が高かった.次に,本モデルのパラメータの事後分布に基づき,コメ品質のδとSRに対する弾力性をそれぞれ求めた.弾力性とは,δ(SR)が変化したときのコメ品質の相対的な変化率を示し,正(負)の符号はコメ品質の増加(低下)を指す.その結果,九州ではSRに対する平均弾力性がδに対する平均弾力性より大きいことが明らかになった.さらに,九州におけるコメ品質の時間変化は高温環境下のSRの時間変化と同期しており,これはイネが高温環境下におかれた場合,寡照環境により敏感になることを意味する.したがって,近年の気温上昇により日射量がより直接的にコメ品質変動の規定要因になっていることが示唆された.(著者抄録)