抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,近年の認知発達研究における社会的・文化的特性への着目という動向を背景に,理科学習を通じて学習者が科学概念構築を図る実態を,ブィゴツキー(1928/1994)が提唱した文化的発達の4つの段階と,シーグラー(1991)のマイクロジェネティック・アプローチをもとに分析的にとらえる中で,その学習論的な特性を明らかにすることを目的とした。本研究では,中学校2年理科電流単元の授業を事例として取り上げ,その授業における「抵抗」概念の理解状況の追跡的検討から,文化的に発達していく学習者の特性を明らかにすることができた。本研究で得られた調査結果から,学習者の文化的発達の特性として,以下の2つをあげることができる。(1)教授学習の過程と認知発達の過程は,必ずしも同一視することはできず,認知発達が遅れて進行する可能性があること。(2)「抵抗」という用語の習熟からとらえる学習者の文化的な発達については,見かけ上,短期的な不連続的変化として生じうる可能性があること。また,この過程において学習者の内面では,課題解決の方略の選択がより適応的なものに変化していくという姿を伴う可能性が示唆されること。(著者抄録)