抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究は,市街地の形態がヒートアイランド現象に代表される都市空間の高温化に及ぼす影響について,実験や実測調査,数値流体シミュレーションにより定量的に把握し,効果的なヒートアイランド対策に寄与する都市計画手法の科学的根拠を整備するものである。(1)東京臨海・都心部におけるヒートアイランド現象の大規模実測調査では,数百メートルの厚みを持つといわれる海風が都市に流入する性状を定量的に把握するために,多角的な調査を実施し,「風の道」の効果の検証並びに効果の定量化を試みた。(2)熱が発生する市街地環境を数値解析で予測する手法の開発を目指して,解析システムの基礎方程式を整理し,計算プログラムを地球シミュレータ上で構築した。(3)建物キャノピー内およびその上空を対象にしたシュリーレン法による気温分布の定量化においては,明度の2次関数をシュリーレン画像の解析に適用することにした。そして,地表面を加熱した建物キャノピー内およびその上空の気温分布をシュリーレン画像から定量化した。その結果以下の知見を得た。1)一様流に対してナイフエッジ位置を変化した際のシュリーレン画像の明度を調べることにより,建物高さ35mmでは明度65~225の範囲でナイフエッジ位置が明度の2次関数で表されることがわかった。他の高さでも線形応答を示す明度の範囲はほぼ同様であった。2)シュリーレン実験において建物キャノピーの上端および地表面近傍で,シュリーレン法の原理上気温の鉛直勾配の絶対値が大きいことを表す濃色域が観察された。風洞内の気温計測においても同様の傾向を確認した。3)明度の2次関数をシュリーレン法に適用することにより,シュリーレン画像から算出した建物キャノピー内およびその上空の気温の鉛直分布は,相対誤差4.2%以下,温度差0.8°C以下の精度で定量化できることを示した。但し明度から気温の鉛直勾配を予測する近似関数を組み合わせる領域を適切に選ぶ必要がある。