抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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茨城県大子町滝倉に露出する下部中新統上部の浅川層の2カ所の露頭から発見された大型哺乳類足跡化石について,その産状と採取標本の観察に基づいて足印の形態的特徴や分布を記載した。足跡化石は,網状河川相中の粗粒~中粒砂岩層下面に底痕として突出しており,下位の氾濫原成のシルト岩層上に踏み込まれた足印が砂質堆積物で充填された,キャストとして保存されている。地点1で18個,地点2で11個の足印と,地点1で足印断面の密集部1群を確認した。保存のよい地点1の5個と地点2の4個の足印の形態的特徴から印跡動物を推定した。地点1の5足印はいずれも3趾印をもち,奇蹄類のサイ科あるいはバク科の足印である可能性が高い。また,足印断面の密集部では趾印がほぼ同じ方向であることから,複数の個体での行動が示唆される。地点2の足印は,地点1とは異なり楕円形の外形をもち,前縁に小さく短い突出が数個認められ,後縁は突出部のない大きな弧状を呈すことから,長鼻類の足印と推定される。両地点とも,個々の足印の進行方向はある程度確認できるが,1個体に限定できる行跡は認められない。これまでに大子町地域の下部中新統で確認された足跡化石から,長鼻類,偶蹄類(シカ科あるいはシカ科に近縁の偶蹄目),鳥類,奇蹄類(サイ類あるいはバク類)が河川平野に生息していたことになる。(著者抄録)