抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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科学研究の成果である知識の公有性を担保し,普遍的に,科学者コミュニティのなかで,利害を超越し系統的な懐疑を加えることが,科学の進歩を促し科学を科学足らしめることである。論文は,そのための媒体であり,研究基盤として認識されるべきである。電子ジャーナル化によるアクセス可能な論文誌数(タイトル数)の上昇は,研究基盤の強化を意味するが,電子ジャーナルの購入経費が増大し,他の研究費を圧迫するのであれば,適正化を図る必要がある。電子ジャーナルが研究基盤のひとつであれば,研究基盤としての価値は,本来,研究成果への寄与で評価されるべきであり,少なくとも研究に活用されているか否かで評価されることが求められるが,ビッグディール契約と呼ばれるパッケージで販売されており,パッケージによってアクセス可能なタイトル数により評価がなされている。電子ジャーナルの出版は寡占化されており,需要者にとって逃げ口のないかたちで価格が上昇し,供給側の主導で,パッケージ化による,みかけの需要が引き上げられている。電子ジャーナルがパッケージのかたちで購入されることによって,研究機関が出版社との一元的な交渉・契約の窓口となることに至った。研究機関は,これまでの財源のほか競争的資金の間接経費等を充てて,研究者との調整を経て,研究者に共通する研究基盤の整備として電子ジャーナルを購入している。しかし,研究者は,かなりの経費がかかるという現状を十分に理解していない。今後は研究機関を通じ出版社にどのような交渉を望むかを示し,経費負担に研究者も自ら一定の責任を果たすことが求められる。まず,研究成果を生むという目的に,どのような形態で,どれだけの投資を行って電子ジャーナルを購入するかが研究機関で議論され,コンセンサスを得る必要がある。そのコンセンサスを踏まえて,需要者である研究機関と,供給者である出版社との交渉がなされるべきであり,悪戯なゼロ・サム・ベースの価格交渉は避けるべきである。研究機関・研究者の交渉力を高めるためには,オープンアクセス,図書館相互貸借(ILL)といった出版社が競争をせざるを得ない他の論文へのアクセスの手段が有効である。...(著者抄録)