抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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セメント中のふっ素(F)定量の前処理方法として,セメント協会標準試験方法(CAJS I-51)で規定されている蒸留法(直接蒸留法)よりも迅速簡便な,熱加水分解/イオンクロマトグラフ法(以下,熱加水分解法)を開発した。しかし,この二つの分析方法にはふっ素定量結果において差異が認められ,常に熱加水分解法のF定量値が高い結果となったため,本研究ではこの差異の要因について詳細に検討した。さらに,本法を石灰石,珪石,スラグ,石膏等のセメント諸原料にも適用し,その有効性を評価するため,直接蒸留法および溶融分解一過塩素酸蒸留法の二方法と比較検討した。構成成分にSiO
2を含まない試料では三方法のF定量値は同等であったが,SiO
2を含有する試料では熱加水分解法によるF定量値が高い傾向を示した。これは含有するSiO
2が,直接蒸留法および溶融分解一過塩素酸蒸留法の蒸留過程でシリカゲル(非晶質SiO
2)となり,ふっ化物の留出速度を遅延させることによった。また,その影響度はSiO
2量とシリカゲルの比表面積に依存した。蒸留時間を長くしたところ,二つの蒸留法のF定量値は熱加水分解法のF定量値に近づいた。このことから,熱加水分解法は,信頼性が高く,また前処理時間が15分と迅速でかつ簡便であることから,セメントの品質管理に適した方法といえる。(著者抄録)