抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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全Znが22μg/l,溶存態Znが20μg/l前後であった「農業集落排水施設の高度処理水」を,無希釈で灌漑利用した実際の水田(灌漑水量13,000mm)で,平成22年の灌漑期に調査を行なった。その結果,表面流出水および地下浸透水における全Znと溶存態Znは,いずれも代かき・田植え後の1日間を除いて,処理水の濃度を下回った。また,負荷量でみた灌漑期全体における処理水のZn除去率は,全Zn40.5%,溶存態Zn57.5%であった。生育した水稲のZn含有濃度は,人間が食しても問題ない濃度(玄米:23.6μg/kg)であり,水稲生育にも悪影響のない濃度であった。また,灌漑期前後の土壌中のZn含有濃度の上昇は1%程度で小さかった。以上のことから,高度処理水を無希釈利用した水田では,Zn除去作用が安全かつ有効に働くことが明らかとなった。高度処理水を積極的に水田に送水し,そのZn除去作用を活用すれば,処理水の最終放流先である河川等の生態系保全に寄与できる可能性が示唆された。(著者抄録)