抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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情報化社会の発展に伴い,より安全性の高い通信が求められている。現在の公開鍵暗号方式では,将来的に技術の進歩により解読されるリスクがある。理論上盗聴できない究極の暗号通信としては,量子暗号通信が考えられている。この場合情報を光子一つひとつにのせて伝送し,通信途中での盗聴を完全に防ぐ方式である。従来の量子暗号鍵伝送では,レーザ光を極限まで弱めた擬似的単一光子源が使われているが,問題点は1つのパルスに2個以上の光子が入る場合があるため,盗聴の可能性があることである。確実に1パルスに1個の光子のみが存在する単一光子を発生させる単一光子源が必要である。今回著者らは,ダイヤモンドを材料として,高品質のダイヤモンド(i層)を,リンをドープしたn層とホウ素をドープしたp層で挟んでp-i-n構造の素子を作製,この単一発光中心(NV中心:炭素原子の抜け穴と窒素原子の複合体)を単一光子源として用いることにより,室温で電気的に単一光子を発生させることに世界で初めて成功した。省エネルギー・低コストの素子の集積化から非常に重要な第一歩である。NV中心は優れたスピン特性を有しており,量子情報の演算や記録に使えるため,量子レジスタ,量子メモリーといった量子情報素子への展開が期待される。