抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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路上犯罪は,特定の場所における犯行の容易性が犯意者の意志決定に大きく影響を及ぼす種類の罪種(機会犯罪)であるため,特に市街地の環境整備による防犯対策が効果的であると考えられる。場所の特性を変化させることで,犯罪を防ぐという考え方に基づく理論が「場所に基づく防犯の理論」であり,その中で最も主流である概念として近年欧米で注目されている防犯環境設計がある。日本でも同理論が紹介され,犯罪に強い空間を創出するためには,”対象の回避・強化”,”接近の制御”,”監視性の確保”及び”領域性の強化”の4つの概念が重要であるとされている。本研究では板橋区におけるひったくり犯罪を分析対象として,犯罪発生に影響を与えている,局所的環境特性の分析を行った。板橋区では「板橋ひったくりマップ」というWebサイトを開設しており,ひったくり犯罪の発生場所,時間帯,犯行手段などの発生状況を掲載している。本研究では,このデータを対象とし,ひったくり犯罪リスクを推定する方法として,ガウス関数を用いたカーネル密度推定法を用いた。そして,推定した犯罪発生リスクを,環境特性を説明変数として,ステップワイズ法による重回帰分析を重ねた。その結果,犯意者は町丁目レベルの大局的な環境特性のみでなく,より詳細な局所的環境特性も考慮しているのではないかという仮説を支持する結果が得られた。特に,通りへの監視性を高めることがひったくりの抑止要因となることが明らかとなり,地域の監視の目を通りへ向けることが,ひったくりの抑止には重要であることが明らかとなった。これより,中高層住宅の1階部分などの通りへ面している部分に商店などの監視性の確保できる施設を配置するようなまちづくりを進めることが重要であり,地区計画やまちづくりルールにて定めていく必要性がある。