抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年東北地方太平洋沖地震は,長さ500km,幅200kmのプレート境界を破壊する我が国史上最大の地震であった。本論では,このような巨大地震が何故発生したか?,何故予測できなかったか?,についての解説を試みる。地震調査研究推進本部は,過去の地震歴から宮城県沖に高い確率で大地震の発生することを予測していたが,M9に至るまでの地震は予測できていなかった。浅部の強いアスペリティを仮定するモデル,階層的アスペリティモデル,摩擦熱と間隙水による摩擦低下モデル,滑り強化から弱化への遷移モデルなど,近年の摩擦構成則に基づいたシミュレーションによって実際に起きた現象を説明することは可能である。さらに,過去の津波堆積物の調査結果,バックスリップインバージョン結果などから部分的なヒントも得られていた。しかしながら結果的に予測が不完全なものとなった主な理由としては,海域の情報,特に海底地殻変動観測からの情報が不十分であったこと,また,1980年前後の比較沈み込み学の仮説に囚われ過ぎていたことが挙げられる。