抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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中国では経済が著しく発展する一方で,その水環境は悪化している。この事態の転換のために様々な対策が考案されている中で,住民としての個人の役割も提起されている。しかし,中国では水環境に対する一般住民の意識がどのようなものであるかという調査研究はこれまでほとんどなされていない。このため,2008年3~5月に,中国の漢江流域にある丹江口市,襄樊市,鐘詳市,仙桃市,武漢市の5地域の都市部及び農村部における一般住民の水環境に対する意識を調査した。その調査結果を基に,水環境の現状に対する意識,日常生活と水環境に対する意識,水環境の施策に対する意識,水環境への住民自らの取り組み,及び水環境政策に対する要望,という5つの項目で日本との比較検討を行った。その結果,中国漢江流域でも日本でも水環境に対する関心度は高く,水環境の現状や施策に対する意識について多くの共通点が見られた。その一方,河川の水質汚染の原因については,中国漢江流域では第一に工場排水であると認識しており,日本では生活排水であると認識しているなど,両地域の相違が明らかとなった。また,中国漢江流域では水環境に対する関心度が高く,水環境の保全と回復が期待されていることがわかった。しかし,中国漢江流域では公害型の水環境問題は注目されているものの,同時に混在している都市型・生活型の水環境問題についてはまだ十分に認識されていない。さらに,実生活の環境負荷の削減策はそれほど浸透しておらず,そのノウハウや工夫も不十分ということが明らかになった。このような調査と比較研究は,今後の中国の水環境施策や日本のアジア環境政策の策定に参考となるであろう。(著者抄録)