抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地層中に保存された津波堆積物を研究することは,津波記録の少ない地域で過去に起きた巨大津波の遡上履歴を検出するためにきわめて重要である。しかしながら,津波堆積物が広く確認されているような巨大津波はごくまれにしか起きないため,津波堆積物の特徴を明らかにした研究事例はまだ数が少なく,地層中から過去に起きた津波堆積物を認定する方法はまだ確立されたわけではない。そこで本研究では,巨大津波により形成された津波堆積物の特徴を理解するため,東北地方太平洋沖地震の津波により岩手県普代村を流れる普代川河口域の谷底平野に遡上した津波堆積物を調査した。津波遡上前の普代川河口域には,河口砂州を形成する砂質堆積物が厚く堆積していたが,津波によりその河口砂州は削剥され消失した。河口砂州の消失により海岸線が内陸側に約90m移動したことが判明した。削剥された砂質堆積物は谷底平野に広くシート状に堆積し,両岸の丘陵地斜面の標高10m付近まで広がっていることが観察された。このことから巨大津波が遡上した場合は谷底平野の地層だけでなく,丘陵地の斜面域の土壌層からも履歴を検出できる可能性が明らかとなった。(著者抄録)