抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本研究では,機械構造用炭素鋼(S45C)を対象にCa添加によるBelagの被削性改善効果について,透過電子顕微鏡により鋼中酸化物とBelagを詳細に観察して検討し,さらに同組成の合成酸化物を作製して鋼中の酸化物組成とその相状態について検討した。これにより得た主な知見を次に示した。1)鋼材の酸化物組成は,ゲーレナイト系酸化物であり,Belagの形成に有効な介在物であること,2)ゲーレナイト系酸化物は,熱間圧延後の棒鋼中で既に結晶化しており,これについては合成酸化物の実験で裏付けたこと,3)工具表面に形成されたBelagは,ナノスケールに微細化し,その組成もゲーレナイトであること,4)ゲーレナイトは,高温加熱により結晶化することで,非晶質の状態に比べて高温硬さが低下し,この硬さ低下により,切削中のBelag形成で鋼中の介在物が適度に軟質化すること,5)ゲーレナイトと同等の融点を有するアノーサイトは,その組成の差により結晶構造が異なり,切削温度域の高温硬さも高いためゲーレナイトよりBelag形成能は小さいこと,6)酸化物系介在物が非晶質の状態では,800°C以上で急激な軟化が生ずることから,鋼材中で介在物が非晶質として存在する場合,切削加工中の工具表面温度がこの軟化点を超える切削条件では,アブレイシブ摩耗は抑制されること。