抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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観光によって日本経済を活性化するには,訪日外国人観光客の増加だけでなく内需拡大も重要な課題である。内需拡大を図るには,まず個人の観光旅行に関する消費行動の全体的メカニズムを理解する必要がある。旅行市場の分析では,単年ごとの旅行客数の増減や消費者の属性の割合の変化を扱う場合が多い。しかし,旅行市場がリピーター市場で,消費者の旅行経験が蓄積されることによって旅行の動機/購買行動が変化し,市場全体の変容に繋がると見做せば,旅行の個人史を線として捉える視点も必要となる。観光旅行のヘビーリピーターによる購買行動を理解すべく,ライフコース視点の導入を検討した。ヘビーリピーターとしての歴史的変遷の捕捉は,人生における様々な経験の組織化/意味づけへの試みにもなる。個人のライフコースを遡ることで,現在の価値観や消費傾向に至る背景を深く探索できる。ヘビーリピーターに共通する経験や家族環境,生活環境の有無については,量的調査よりも具体的文脈において語られる。事実を収集して発達の経路を質的に記述する必要があある。ライフイベントと観光旅行についての語りを引出し,観光旅行を好むきっかけや環境,頻繁に実施できる条件,人生における位置づけなどを聞き取る必要がある。