抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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本特集は,不便がもたらす効用を「不便益」と名付け,これを積極的に活用するシステムデザインについて様々な立場から考察したものである。本章では,何かを無くすることを「引き算」と呼び,人間-機械系において機械側を引き算することによって人間側の足し算を自然に引き出し,そこにインタラクションを生み,多様かつ自由な関係を紡ぎだすことを構想した。すなわち,「引き算」という方法は,何かをなくし,ある種の”空”を創ることによって,人々の関わり,想像力,解釈,運用を自然に引き出すものであり,それらに多様性と自由度をもたらすものとして作用する。したがって,システムデザインに「引き算」の方法をうまく適用すれば,人々の関わり,想像力,解釈,運用を自然に引き出すことができ,人とシステムとのインタラクションを促し,人とシステムとの間に多様かつ自由な関係性を紡ぎだせるかもしれない。また,「引き算」することによって人の足し算を積極的に引き出すシステムデザインは,システム科学の新展開を導く可能性もある。このような,ヒト・モノ・コトが相互依存し,連携・運動して機能する実体としてシステムを捉える関係論的なシステムデザインが目指すところも正に同じである。その意味で,「引き算」は,関係論的なシステムデザインに必要不可欠なコンセプトであり,方法でもある。