抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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X線反射率法は,薄膜・多層膜の表面から深さ方向の構造を原子レベルで評価できる有用な解析方法であり,現在,この手法を使って薄膜表面の構造解析を行う分析装置が市販され,多くの分野において利用されている。ここで,X線反射率の測定データから多層膜の厚さや表面・界面粗さなどの構造を求めるための解析式としては,Parrattの多層膜モデルにNevot-Croceのラフネスの式を組み合わせた理論式が現在実用的に使用されている。しかしながら,この理論式を用いたX線反射率の計算において,表面・界面粗さを粗くしたほうが干渉効果による振動振幅の大きいカーブを示してしまい,どうしても測定データと合わないという奇妙な現象がしばしば観察されている。そこで測定データとのフィッティングを良くするためには,表面・界面にコンタミ層やバッファ層など干渉効果を減少させる層を導入せざるを得ないなど無理な工夫が必要となってしまうことがあり,X線反射率の解析において混乱が生じている。そこで従来実用的に使用されているX線反射率理論式を詳細に検証した結果,そこには重大な誤りが含まれていることが分かった。現在使用されている理論式では正確な構造が得られないばかりでなく,場合によっては大きく違った構造の結果を与えてしまうため,解析データの信頼性が上がらず材料開発を妨げる一因となっている。従来実用的に使用されているX線反射率理論式におけるこれらの問題点について詳しく解説し,その改善法とより精密なX線反射率解析への展望について述べる。(著者抄録)