抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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需要低迷を背景に,日本の製紙業界では合併/統合/業務提携が相次ぎ,市場の競争構造が激変している。製紙業の実証分析フレームワークは静学的モデルにとどまり,企業の長期的な意思決定のもとでの動学的最適行動を定式化したモデルによる計測は行われていない。資本設備の長期にわたる調整費用を考慮するモデルを含んだ実証研究を行う余地がある。多品種生産に強みを持ち,生産性・効率性にすぐれる大王製紙を取上げ,静学/動学モデル双方の枠組みで,製紙業の規模と範囲の経済性を企業レベルで検証するために,計測を試みた。静学モデルでは,資本/労働/原材料の3生産要素が可変的に投入される想定で費用関数を推定し,動学モデルでは資本設備を準固定的生産要素と考えた制約付き費用関数と,調整費用を考慮したEuler方程式の動学的生産要素需要システムによる連立方程式体系での推定を試みた。両モデルで規模と範囲の経済性が検証され,大王製紙の経営効率を,生産規模の拡大と多品種生産における費用の補完性という面から支持した。調整費用の係数値もプラスに推定され,設備投資における調整費用の存在が明らかになった。