抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
人をノード,人と人との紐帯をリンクとしたグラフとして表現し,そのグラフを分析することにより,多数の人の関わる複雑な社会現象の理解を目的とする,ソーシャルネットワーク分析の研究が活発に行われている。ただし,社会構造を形成する人や,それらの人の間の紐帯を,漏れなく,また正確に取得することは容易ではないため,ソーシャルネットワーク分析に用いられるグラフには,通常,さまざまな誤りが含まれている。例えば,従来のソーシャルネットワーク分析の多くでは,実験参加者へのアンケート調査から,人と人の紐帯の有無やその強さを取得しており,リンク重みが無視されたグラフや,リンク重みが粗く量子化されたグラフが用いられている。そこで本稿では,ソーシャルネットワーク分析で用いられるグラフにおける,リンク重みの有無や,リンク重みの量子化が,ノードの中心性指標(媒介中心性・近接中心性・次数中心性・固有ベクトル中心性)に与える影響を定量的に明らかにする。その結果,(1)ソーシャルネットワーク分析の目的が,最上位のノードを推定したいという時には,リンク重みの量子化の影響はそれほど大きくないこと,(2)ただし逆に,最上位のノードだけでなくある程度の範囲のノードを推定したいという時には,リンク重みの量子化の影響が大きいため,5~8段階以上の量子化レベルを確保することが必要であること,(3)次数分布の歪度が大きいほど,また,ノードの次数とリンク重みの相関が強いほど,グラフはリンク重みの量子化に対してロバストであること,などを示す。(著者抄録)