抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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地球上の自然放射線の起源は2つあり,地球誕生以来残存する長寿命の放射性同位体によるものと,地球外から飛来する宇宙線によるものである。本稿では,宇宙線が大気中で作る
14Cの測定から,屋久杉の年輪から得られた奈良時代の宇宙線増加の事象について紹介する。樹齢1,900年を,年輪年代法により年齢幅のパターンから決定された年代を用いて対象となる年輪を切り出し,二酸化炭素に変換,精製後,水素還元によってグラファイトに変換し,このグラファイトの
14Cを加速器質量分析計で測定した。774~775年にかけて12%の
14C濃度の増加が見られ,太陽11年周期変動の20倍の年変化である。これは,地球上の炭素循環によるもので,成層圏,対流圏,生物圏,海洋圏の4つの領域を考慮した4-box炭素循環モデルにより,よく再現できる。年輪1年ごとの
14C濃度の測定により,過去の宇宙線強度を詳細に調べることができ,その時系列データの周期解析から,地球へ到達する宇宙線を制御している太陽活動の長期・短期の変遷がわかる。