抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2010年から戸別所得補償制度が導入され,稲作を含む農政が大きく変ろうとしている。イネは日本にとって重要な作物であり,様々な法律,制度により生産の促進がはかられてきた。1942年には,食糧管理法が制定され,戦時下での統制が始まり,第二次世界大戦後は増産を続けてきた。しかし,1970年からは,需要の落ち込みのため,生産調整が開始された。生産調整は生産数量目標を割り当てる方式に改定され,現在に至っている。一方,WTO協定における関税はコメ778%,小麦252%であり,これに大麦,脱脂粉乳,バター,でん粉,雑豆,粗糖が続いている。重要な輸出品目になりつつある果樹,野菜は低関税となっている。そこで,システムダイナミクスを用いて,コメ市場モデルの構築を試みた。モデルの構造から国内市場には,需要によるループ,供給によるループ,目標在庫量によるループの3つのフィードバックが存在することがわかった。また,農林水産省は在庫量,輸入量,輸出量を調整して,コメ価格に重要な影響を与えている。2011年7月1日から農林水産省は,米先物の2年間の試験上場を認可した。現在,先物取引を含むモデルを構築中である。今後,農業経営体の営農方法や経営指標,2国間貿易を含む総合的なモデルを発展させ,コメの輸出戦略を提案したい。さらに,持続可能な農業への転換や人間の安全保障へ取り組むビジョンを示したい。(著者抄録)