抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2008年8月5日に東京都豊島区雑司が谷において局地的大雨が発生した。2部構成によってこの日に発生した積乱雲群の振舞いと積乱雲に伴う局地的大雨の直前予測の可能性について検討する。この第1部では,この日に首都圏で発生した179個の積乱雲(降水セル)を対象とし,その形態を気象庁の現業レーダーの反射強度データを使って統計的な見地から調べた。降水セルの直径については総数の1/3では3.5km以下,平均値は5.5kmであり,全体に水平規模は小さかった。寿命の最頻値は20~40分であり,全体の86%では80分以下であった。約半数の降水セルではエコー頂高度がレーダーの測定限界である15kmに達していた。各降水セルがその寿命の間にもたらした推定総降水量は,40mm未満のものが約半数,60mm以上のものが総数の1/3であった。鉛直積算雨水量は1.4~42.4kgm
-2(平均値は15kgm
-2)であり,その最大値は当日09時の館野(つくば市)の高層観測から算出される可降水量の7割程度であった。対流圏中下層の風が弱いことに対応して,降水セルの移動速度は2ms
-1以下と小さかった。レーダーによって積乱雲が降水セルとして認められてから地上で降雨のピークが現れるまでの時間を調べたところ,その値はほとんどの事例で10~30分であった。雑司ケ谷大雨をもたらした2つの降水セルは水平サイズ,寿命,総降水量のいずれにおいても当日の降水セル群の中では上位に位置していた。海外における同種の統計解析結果と比較したところ,今回の事例では水平サイズは海外の事例とほぼ同等であったが,エコー頂高度と寿命は他の事例より大きかった。(著者抄録)