抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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海洋におけるビスマス(Bi=
209Bi)の循環とそれを支配する要因を明らかにするため,海洋および地球表層におけるBiの起源に関する知見を整理し,新たに開発したBiの定量法を用いて測定し,2011年夏季の西部北太平洋でのBi分布とその特徴を概説する。海洋中のBiは,主に大気からの降下により供給される。地球規模での火山からのBiの推定放出量は405-4,000t/yである。化石燃料の燃焼に伴う推定放出量は,石炭燃焼の約半分を占める中国で,400t/yと推定される。外洋水中での低濃度Biを測定するため,キレート樹脂濃縮-ICP-MS法を開発した。西部太平洋海域において,表層水中での濃度は亜熱帯域において高く,北進に伴い減少した。Biの緯度方向分布パターンは
210Pbの緯度分布と類似している。Biの鉛直分布は表層にて高く,中層から深層にかけて減少する。分布パターンに関して,2つの仮説を示す。今後,Biの経年変動を追跡し,過去における時系列変動をサンゴ骨格中のBi分析により解析し,Biの循環を明らかにしてゆく。Biの様な人為起源の影響を受ける他の微量元素に関しても,早期からの取り組みが必要である。