抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2008年5~7月の期間,北海道日本海側およびオホーツク海側において,イシイルカPhocoenoides dalli 17個体の漂着報告があった。1997年,2005年にも,それぞれ9個体,10個体のイシイルカが狭い地域と短い期間に集中して漂着したという報告があるが,当時の詳細な記録や標本は残されていない。本研究では,2008年におけるイシイルカ漂着個体の胃内容物を調査し,生前どのような餌生物を利用していたかを明らかにすることを目的とした。胃内容物調査には,胃が採材されていた13個体を用い,餌生物の量的組成を調べるために,出現頻度,個体数組成をそれぞれ求めた。13個体のうち,小型の6個体が空胃であり,小型個体が空胃である傾向がみられた。空胃ではなかった個体では,テカギイカ科イカ類Gonatidae spp.が最も多く出現した。過去の研究で北海道日本海側におけるイシイルカの重要な餌生物とされていたスケトウダラTheragra chalcogrammaは出現しなかった。2008年の北海道におけるイシイルカ漂着個体の主要餌生物はテカギイカ科イカ類と推定され,近年のスケトウダラ資源の減少により,イシイルカが主要餌生物を変化させた可能性が示唆された。(著者抄録)