抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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気象研究所では,1950年代後期から50年以上の長期にわたり長寿命の放射性核種について観測を継続してきた。本稿においては,月間降下物中の
90Srと
137Cについては,時代を区分して詳細に記述し,人体影響の観点から重要な核種であるPu,及び海洋環境における長期広域の研究については,時代区分によらずそれぞれまとめて記述する。福島第一原子力発電所事故以前の太平洋の海水中の人工放射性核種は,主に大気圏核実験に由来する全球規模フォールアウトが起源である。1950年代後半から1960年代前半の大規模核実験に起源を持つ
137Csは,海面に降下した後,海洋内部へと輸送された。2000年代での海洋内部の分布の特徴として,東経165度線に沿う断面では深さ600m以深に
137Cs濃度極大が見られる。西部北太平洋の2011年4月の
134Csと
137C濃度は10~10
3Bqm
ー3程度検出され,福島第一原子力発電所事故前と比較して1~3桁高い状態であった。福島第一原子力発電所事故由来の放射性セシウムの分布としては,東太平洋における北限はほぼ北緯50度,南限は北緯30度であり,輸送速度から判断して,汚染水が直接海洋に漏洩したものが海流によって運ばれたものでなく,大気経由で輸送され海面に降下したものである。海洋大循環モデルを用いた広域拡散計算による放射性セシウム濃度と観測値は,2011年4月と5月において良い一致を示した。