抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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中越地震および中越沖地震は,高齢化の進む我が国において,これほど大きな被害を受け,そこからの復興をはかることは阪神・淡路大震災以後はじめての経験であった。今回の経験を最大限に活かして,生活再建をはじめとする災害・復興対策を行っていくことが,各自治体においても,また,これからのわが国においても,重要かつ緊急な課題の一つである。そこで,被災地および新潟県内における被災状況及び生活再建の状況やその過程などを体系的に把握することを目的とした。そのために,中越地震から4年半,中越沖地震から1年半が経過した2009年3月に,新潟県全域で実施した大規模無作為抽出による社会調査結果を分析し,阪神・淡路大震災,中越地震,中越沖地震の3つの災害における「すまい」「人と人のつながり」「被災者・被災地全体の生活再建過程」「自助・共助・公助による効果的防災のための役割分担」について比較し,その特殊性,一般性について論じた。すまいについては,断続的な余震が人々の避難と居住地選択行動に大きな影響を与えていたこと,血縁が集住する地域では血縁宅が避難先にはならないこと,それ以外の全体的傾向には一般性があることがわかった。つながりについては,大都市部では血縁とライフライン事業者が支援者となり,公助はセーフティーネットであること,中山間地・地方都市では,近所・町内会・地元自治体が支援者として評価されていることがわかった。全体的な生活再建過程については,災害の規模や様相が違つても,復旧・復興過程には一般性が見られることがわかった。時期をみると,中越沖地震では阪神・淡路大震災よりも急速に復旧・復興していることがわかった。自助・共助・公助の役割分担については,阪神・淡路大震災,中越地震,中越沖地震のどの被災者においても,自助・共助・公助の効果的な防災行動の役割分担について一般性が見られた。