抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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東日本大震災以降の電力需要の逼迫や,分散型電源の普及により,現在,電力会社では日々の電力需要予測により翌日の発電機の運転・停止計画を立て,供給予備力の確保や経済的な電力系統運用により一層努めている。そのため,電力需要予測の精度向上が求められている。これに対し,現在の短期需要予測手法の主流となっているのが,ニューラルネットワーク〔NN〕や重回帰分析法である。このうち,NNの特徴として,設計者の意図を反映しやすく,他の予測手法に比べ高精度な予測ができるメリットがある一方で,NNは一般に,物理システムとパラメータの関係が不明瞭であり,学習回数を多く必要とするという課題がある。これに対し,本稿では需要曲線を考慮したH
∞フィルタによる電力需要予測手法を提案した。具体的には,電力需要モデルを設計し,未知パラメータを平日・休日に分けH
∞フィルタを用いてパラメータ推定を行った。パラメータ推定には過去30日間の需要データと気温データを使用し,パラメータ推定によって得た値をモデルに代入することによって予測値を計算した。また,得られたデータを逐次的に代入計算することによって36時間先まで予測した。この時,需要曲線は予測日の当日と翌日を考慮した組み合わせによって過去データを適切に選んだ。その結果,NN法に比べ予測精度は0.3%劣るが,学習回数を約200分の1に抑え,予測説明に優れた明瞭な予測手法であることを示した。したがって,説明能力や学習回数よりも予測精度を重視する場合には,従来のNN法を用い,予測精度よりも説明能力を重視する場合や,学習回数に制限のある場合には提案手法を使うことが考えられる。