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J-GLOBAL ID：201302210510398776   整理番号：12A1811347

反応熱分解ガスクロマトグラフィーによる伝統材料「油団」中の油脂成分の化学構造解析

Chemical Structural Analysis of Oil Components in Japanese Traditional Carpet ′′Yuton′′ by Thermochemolysis-Gas Chromatography in the Presence of Organic Alkali

著者 (6件)： 石田康行 (中部大学応用生物学部応用生物化学科) ,  尾川貴子 (中部大学応用生物学部応用生物化学科) ,  亀谷将之 (中部大学応用生物学部応用生物化学科) ,  加藤隆明 (中部大学応用生物学部応用生物化学科) ,  武田邦彦 (中部大学総合工学研究所) ,  大谷肇 (名古屋工業大学工学研究科物質工学専攻)
資料名： 分析化学
巻： 61  号： 10  ページ： 819-825 (J-STAGE)  発行年： 2012年 
JST資料番号： F0008A  ISSN： 0525-1931  CODEN： BNSKAK  資料種別： 逐次刊行物 (A)
記事区分： 原著論文  発行国： 日本 (JPN)  言語： 日本語 (JA)

抄録/ポイント： 主に和紙とえごま油から構成され,夏季用の敷物として使用されてきた日本の伝統材料「油団」中の油脂成分の化学構造解析を,有機アルカリ共存下での反応熱分解ガスクロマトグラフィー(反応Py-GC)により行った.まず,実際に職人により作製されて5年及び45年経過した新旧の油団試料を,有機アルカリの一種である水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)共存下で400°Cにおいて反応Py-GC測定した.いずれのクロマトグラム上にも,油脂の酸化物に由来して生じることが知られている,スベリン酸やアゼライン酸などのジカルボン酸のジメチルエステルが油団に特徴的なピークとして観測された.特に,古い油団試料では,もとのえごま油に由来する脂肪酸成分がほぼ完全に消失したことから,古い油団ではえごま油の酸化がより一層進行し,難分解性の3次元ネットワーク構造が形成していることが示唆された.さらに,100°Cで5時間加熱して油脂成分を硬化させた,えごま油及び油団モデル試料の反応Py-GC測定を通じて,上記のジカルボン酸類が,えごま油の酸化反応を経て形成された3次元ネットワーク構造から主に切り出されていることが実証された.以上の結果から,油団表面上でえごま油の硬化反応が徐々に進行しており,このことが,使用して20~30年経過して強度や撥水性などの諸物性が最適になるという油団のユニークな性質と密接に関係していることが示唆された.(著者抄録)

シソーラス用語： 日本 ,  *技術 ,  *カーペット ,  反応熱 ,  *熱分解クロマトグラフィー ,  *塩基 ,  *植物油脂 ,  *ジカルボン酸 ,  *酸化 ,  分析 ,  分子構造 ,  脂肪族カルボン酸 ,  エステル ,  性質 ,  三次元 ,  ネットワーク構造 ,  架橋【高分子】 ,  強度 ,  撥水
準シソーラス用語： *エゴマ油 ,  メチルエステル ,  化学構造 ,  硬化【高分子】 ,  成分分析 ,  *伝統工芸 ,  難分解性 ,  *熱分解ガスクロマトグラフィー ,  *有機塩基 ,  撥水性

分類 (4件)： 油脂の性質  (YG01020T) ,  各種紙製品・紙製容器  (YL04030O) ,  高分子固体の構造と形態学  (CG02022M) ,  抵抗性  (YH02050K)

物質索引 (3件)： アゼライン酸 ,  スベリン酸 ,  水酸化テトラメチルアンモニウム

引用文献 (20件)：

• 1) エスビービー編 : "職人-伝えたい日本の魂", (2001), (三交社).
• 2) 武田邦彦 : "自然に学ぶ材料プロセッシング",名古屋大学21世紀 COE 「自然に学ぶ材料プロセッシングの創成」教科書編集委員会編,p. 330 (2007), (三共出版).
• 3) 宮原康弘,水野孝志郎,石川朝之,武田邦彦 : マテリアルライフ学会誌,21, 33 (2009).
• 4) J. M. Challinor : J. Anal. Appl. Pyrolysis, 61, 3 (2001).
• 5) S. Tsuge, H. Ohtani : "Applied Pyrolysis Handbook second edition", Edited by T. P. Wampler, p. 249 (2007), (CRC Press).

タイトルに関連する用語 (5件)： 熱分解ガスクロマトグラフィー ,  油 ,  油脂成分 ,  化学 ,  構造解析