抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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紀伊半島では,中期中新世(約15Ma)の短期間に広域にわたる火成活動があり,潮岬火成複合岩類,大峯酸性岩類および熊野酸性火成岩類が形成されている。これらの火成岩類のレビューを行い,紀伊半島南部の高温泉湧出域との関連を考察した。高温泉は熊野酸性岩類の活動末期に形成された弧状岩脈とその周辺域でのみ湧出している。高温泉地域では上昇流型,非高温泉地域では伝導型の温度勾配を示す。潮岬火成複合岩類および大峰酸性岩類からは高温泉が全く湧出していない。熊野酸性岩類の主岩体である花崗斑岩分布域,南北性の岩脈群と熱水変質帯にも高温泉の湧出がみられない。枯木灘弧状岩脈の内部構造を検討した結果,弧状岩脈は南北性の石英脈形成後に,北側からマグマが基盤岩に貫入し,高角で扇状に広がるように噴出したと考えられる。高温泉の湧出地域は玉置山,本宮-阿田和,古座川,枯木灘および十津川の各弧状岩脈に沿っているが,その湧出は局所的で,2方向の弧状岩脈が交差する地域で高温泉の湧出が顕著である。また,四万十付加体のスラスト下盤および新期屈曲構造の軸部,熊野層群および田辺層群の背斜軸部などの地質構造とも密接に関連していることから,高温泉から推定される中新世火成岩体の地下構造と熊野酸性岩類の噴出機構についても考察した。(著者抄録)