抄録/ポイント：
抄録/ポイント
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近年頻発している局所的な短時間強雨による中小河川の氾濫などのため,鉄道では,道床流失,橋りょうの閉塞,盛土の崩壊などのこれまでみられなかった形態の災害が年々増加する傾向にある。これまで,都市域の湛水被害を対象とした氾濫影響評価手法は確立しているが,山間地・中山間地における氾濫影響評価の実績は少なく,鉄道施設に及ぼす影響を評価する手法は確立していない。そこで,本研究では,その基礎資料として過去の災害事例の中から,軌道冠水を含む被災事例を検討対象として選定し,航空写真測量により数値標高モデルを作成するとともに分布型流出モデルおよび二次元不定流計算を適用した流出・氾濫解析による被災当時の状況の再現シミュレーションを行った。その結果,今回の被災対象事例では,地盤への浸透の有無によらず,氾濫の発生規模ならびに代表的な氾濫事象の発生時刻はほぼ一致し,概略的であるが実際の氾濫現象を再現していることが確認された。このことから,小河川流域において局所的な短時間強雨による氾濫現象を再現する場合には,表層流のみを考慮した流出・氾濫解析で再現可能であることが示唆された。しかし,今回設定した「地盤への浸透を考慮しない」という解析条件が,どの程度の規模の氾濫現象にまで適用可能かは不明である。今後は,その適用性についての知見を得るため,氾濫事象の再現解析事例を蓄積していく予定である。
