抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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2011年3月12日に長野県と新潟県の県境付近で発生した地震(M6.7)では,斜面崩壊や地盤変状,構造物被害等が多発した。それらの被害をマッピングすると,大局的な分布に偏りがあるように見えたため,現地調査を行うとともに,主に斜面崩壊・地盤変状箇所と地形・地質,想定される活断層の位置,干渉合成開口レーダー(干渉SAR)で捉えられた干渉縞等をGIS上で重ね合わせて,それらの関連を検討した。その結果,地盤変状,斜面崩壊等の被害は,信濃川(千曲川)流域とその左岸の山間地域及び志久見川西側の栄村山間地で多発しており,想定される震源断層(逆断層)の上盤側で,かつ干渉SARで検出されたM6.7の本震とその約30分後に発生した最大余震(M5.9)による地殻変動発生領域に分布していることが分かった。道路の変状・亀裂等の地盤変状のほとんどは,盛土等の重力性変状で説明可能であったが,一部,黒澤ほか(2011)が地表地震断層として報告している箇所や十日町市の大厳寺高原キャンプ場の駐車場では,テクトニックな変動の可能性も示唆された。津南町大井平地区から亀岡地区にかけての宮野原断層周辺では,断層線に沿って地すべりや盛土の重力性変状等の集中が見られ,その活断層自体が能動的に活動していなくても,活断層近辺に斜面崩壊や地盤変状等が集中する傾向があることが示された。その他,建物倒壊被害は,栄村の千曲川沿いの狭い段丘上かつ本震と最大余震によるSAR干渉縞が重合する集落に集中しており,地形や余震の影響が示唆された。以上の特徴は,従来から指摘されている「逆断層の上盤側で被害が大きい」という現象と一致するとともに,干渉SARで捉えられるような地殻変動領域で被害が多く発生する可能性を示唆している。(著者抄録)