抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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電動機の電気的故障は,固定子巻線故障が40%近くを占め,その80%程度が電気絶縁に関する巻線聞短絡故障であるとの報告がある。巻線間短絡を放置すると,絶縁劣化が進行して相間短絡や地絡など重大な事故へと発展する可能性があるため,比較的軽微な巻線間短絡の段階における故障検出技術を確立し,短絡進行状況を把握することが極めて重要となる。これに対し筆者らは,測定・診断が容易で物理的意味をもつ診断手法が望ましいとの観点から固定子巻線電流に着目してきた。そして,巻線状態を反映する電流の振幅および位相という2つの特微量に着目した巻線短絡の確率的診断手法を提案し,検討を行っている。この手法では,健全電動機の特徴量分布と診断対象の特微量の関係から故障確率を算出し,設定した閾値を超える場合に故障と判定する。今回,提案システムを,人為的に巻線短絡故障を導入した電動機を用いた実験によりその有効性を評価した。得られた結果を以下にまとめる。1)負荷接続時においても,固定子巻線電流の振幅と位相は無負荷時と同様に巻線の状態を反映する特微量となる。2)各相電流の特微量に基づいて故障確率を評価した結果,1ターン短絡の場合には健全時との区別が難しい場合もあるが,短絡ターン数の増加につれて故障確率は健全時と比べて高い値を示すようになり,6ターン短絡では確実に健全時との判別ができることがわかった。3)各相電流から得られる故障確率3つの積を導入することにより,巻線短絡診断の精度がさらに向上することを示した。短絡ターン数の堵加とともに積の値が上昇し,6ターン短絡では100%となる。4)現場からの強い要求がある負荷接続状態における巻線故障診断に対し,提案手法は有効であると考えられる。また,本論文で新たに導入した,各相電流から得られる故障確率3つの積の値の推移により,巻線の短絡進行過程を追跡できる可能性が示唆された。