抄録/ポイント:
抄録/ポイント
文献の概要を数百字程度の日本語でまとめたものです。
部分表示の続きは、JDreamⅢ(有料)でご覧頂けます。
J-GLOBALでは書誌(タイトル、著者名等)登載から半年以上経過後に表示されますが、医療系文献の場合はMyJ-GLOBALでのログインが必要です。
山岳地域では,雪が水資源として重要であり,地球規模での環境変動に対して極めて敏感に反応すると考えられるが,蓄積された観測データがない状況にある。今後の地球規模での気候変動に対する地域レベルとしての山岳地域での気候変動を予測するための基礎データとして,山岳地域における気象観測データの欠如は重大な問題である。本論では,まず,気象庁による気象観測網における山岳地域の積雪深と降水の観測データの問題点を指摘し,山岳地域における気温変動の敏感性から高標高地点での観測の重要性を論じた。ついで,信州大学山岳科学総合研究所が行っている中部山岳地域での気象観測の試みを紹介した。さらに,商用電源がない山岳地では降水量として降雪を観測することがほとんど不可能であることから,雪氷化学的手法を用いた山岳地域における冬季降水量算定の試みを紹介した。この方法は,降雪の化学的性質が気象条件によって異なることを利用して,積雪層ごとに降雪日を同定し,それに基づいて降雪量(冬季降水量)を算出する。この手法による具体的な算定例を示し,この手法がある程度妥当であることを示した。