抄録/ポイント:
抄録/ポイント
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酸化亜鉛(ZnO)は,バンドギャップが3.37eVのワイドギャップ半導体で,可視光域で透明であるという特徴を持つ材料である。また,安価で,地球上に大量に埋蔵し,環境適合性も高いので,様々な素子への応用を目指した研究が精力的に行われている。本稿では,アクティブ・マトリックス方式のディスプレイ画素などに応用できる透明で,柔軟なZnO薄膜トランジスター(ZnO-TFT)の開発に関する研究結果を報告する。SiO
2/TiO
2のバッファー層を持つ柔軟な基板上に,室温プロセスによってZnOから成るZnO-TFTを作製した。電子ビーム蒸着法によって,ポリエチレンフタレート・プラスティック基板上に底部酸化バッファーとして厚さが200nmのSiO
2層を堆積した。室温において,厚さが50nmのTiO
2バッファ層と厚さが40nmのZnO膜を,連続してパルスレーザー蒸着法によって成長させた。ZnO薄膜とSiO
2バッファ層の間のTiO
2薄膜は,接着性が非常に優れていることが分かった。SiO
2/TiO
2のバッファー層を用いて作製したゲート長,L
G,が2μmのトップゲート型ZnO-TFTの相互コンダクタンス,g
m,は1.7mS/mm,ドレイン電流のオン/オフ比は2.4×10
6,そしてしきい値電圧V
THは-1.1Vであることが分かった。SiO
2のバッファー層と比較した場合,しきい値電圧シフトは正の方向に1V程度であることが分かった。また,SiO
2/TiO
2から成るバッファー層を含むZnO-TFTの動作電圧は5Vで,ゲートリーク電流は数pAであることが分かった。更に,作製したZnO-TFTは曲率半径が8.5mm程度まで曲げ得ることが判明した。曲げても,また元に戻してもI-V特性の大幅な変化は観測され無かった。g
mを改善するために,ボトムゲート型ZnO-TFTも作製し,ゲート長が20μmの素子の場合,g
mが12.5mS/mmであることが分かった。ボトムゲート型TFTでは相互コンダクタンスが改善され,トップゲート型TFTに比べて,g
mは10倍になることが分かった。曲率半径が10mm,20mmおよび30mmに至る曲げ実験の結果から,ゲート長が短い素子に関するI-V特性は曲げ,およびその後の復帰後においても変化しないことが確認された。