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J-GLOBAL ID:201302296360546765   整理番号:13A1287710

前後軸に沿ったプラナリア再生の分子機構

The molecular logic for planarian regeneration along the anterior-posterior axis
著者 (11件):
資料名:
巻: 500  号: 7460  ページ: 73-76  発行年: 2013年08月01日 
JST資料番号: D0193B  ISSN: 0028-0836  資料種別: 逐次刊行物 (A)
記事区分: 原著論文  発行国: イギリス (GBR)  言語: 英語 (EN)
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プラナリアの一種であるナミウズムシ(Dugesia japonica)は,体細胞性の多能性幹細胞を活性化することで,頭部,胴体,尾部の断片から完全な一個体を再生できる。1世紀ほど前,トーマス・ハント・モーガンは,前後軸に沿った形成を行う「頭部成分」と「尾部成分」からなる2つの相対する形態形成勾配を仮定することで,プラナリアの並外れた再生能力を説明しようとした。しかし,モーガンの仮説はいまだに議論の余地がある。本研究では,細胞外シグナル関連キナーゼ(ERK)とWnt/β-カテニンシグナル伝達経路が,プラナリアの再生に対する確固とした枠組みを作り上げていることを示す。我々のデータは,再生中にERKシグナル伝達が,前方領域において空間的勾配を形成することを示唆している。繊維芽細胞増殖因子受容体様遺伝子nou-darake(分化中の頭部においてERKシグナル伝達の出力として働く)と,後方に偏向したβ-カテニン活性が,それぞれ異なる様式で前後軸に沿ってERKシグナル伝達を負に調節し,その結果,頭部領域の外側で再生する組織が後方化されて,頭部から尾部までの完結した軸が再構築される。このナミウズムシでの知見に基づいて,我々は,別種のプラナリアであるコガタウズムシ(Phagocata kawakatsui)の尾部断片が頭部再生能力を持たない原因は,β-カテニンシグナル伝達にあるのではないかと考えた。その確認を行ったところ,後方のβ-カテニンシグナル伝達が,プラナリアで種を越えて前方化に関与しているERKシグナル伝達を負に調節しているという考えを裏付ける結果が得られた。以上の結果から,ERKシグナル伝達は,後方化シグナルがない状態での頭部組織への運命指定を促すデフォルトプログラムを介して,頭部から尾部へ向けての順序で広範囲にわたる幹細胞の動的な分化を引き起こすのに中心的な役割を果たしていると考えられる。従って,我々はモーガンの仮説の大枠を実証し,我々が提唱したプラナリア幹細胞のデフォルト特性に基づいて,この仮説をより明確にした。Copyright Nature Publishing Group 2013
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